原因 |
犬糸状虫が感染することによって起こります。
犬糸状虫が成長する為には吸血する雌の蚊が必要です。蚊は、犬糸状虫が寄生してい
る哺乳動物から血液を吸う際に、血液と同時にに血液中のミクロフィラリア(第1期
子虫)を吸血します。第1期子虫は蚊の体内で2回脱皮し、14〜16日位で第3期子虫
となります。この第3期が蚊が吸血した際に刺し傷より動物の体内に移動します。14
日程度で第4期子虫に、50〜70日位で第5期子虫にまで成長します。そして静脈に侵
入し、血液に乗って肺動脈に寄生します。感染後6ヶ月で性成熟し、ミクロフィラリア
を産みはじめます。 |
 |
症状 |
感染初期や軽度の感染では、ほとんど症状はありません。感染が長期、重度になるに
つれ、咳や呼吸困難などの呼吸器症状や運動を嫌がるなどの症状がでます。重度では
失神や脱水、吐血、喀血がみられ、命をおびやかします。 |
 |
診断 |
採血をして、血液中のミクロフィラリアや犬糸状虫抗原を検出することによって、寄
生をしているか診断します。
ただし、ミクロフィラリア検査のみでは犬糸状虫の寄生を否定できない為、予防を実
施していない動物に対しては抗原検査もします。 |
 |
治療 |
犬糸状虫の治療は、肺動脈内の成虫を駆除することです。頚部の静脈より、専用の器具によるつり出しや、注射剤で治療します。重度の犬糸状虫症では成虫の駆除、駆虫が生命にかかわる為、実施できないことがあります。
よって、予後は様々です。対症療法に反応し、長期生存する子もいれば、突然病態が
悪化して、おわかれをしなければならない子もいます。この為、犬糸状虫の感染が発
覚した時点で、早期の治療が望まれます。 |
 |
予防 |
犬糸状虫の予防は、月一回の駆虫薬の投与、あるいは6ヶ月有効の注射剤の投与によっ
て簡単に行えます。駆虫薬という性格上、蚊がいなくなった月の翌月まで続けることが大事です。
一度犬糸状虫症に感染すると、駆虫を行っても心臓や肺に少なからずダメージが残り
ます。従って予防を確実に行うことが望まれます。 |